一軒家になったし、なにかペット飼いたいねー。
なんて家族の会話がいきなり始まった。
家、超狭いくせに一軒家をゲットしたら色々と夢が膨らむもんだ。
べっちゃんファミリーも正真正銘の小市民だ。
ただ、僕も奥さんも幼少の頃からペットというペットを飼ったことがない。
自身の記憶を辿っていくと。。。
縁日ですくってきた金魚。確か、オヤジがせっせとお世話してくれてフナくらいのデカさになってたなー。
幼稚園の頃、どういういきさつか忘れたが【イシガメ】を買ってもらい、タコひも結びつけて散歩に出かけたりしてたなー。団地の5階から落ちても生きてたなー。最後は確か小学生のとき引っ越しを機に今となってはダメなことなんだろうけど別れを惜しみながら野池に逃がしたなぁ。
くらいの記憶。
他にも虫なんかは飼ってたけどまぁその程度だった。
とにかくペットというペットを飼ったことがなかったので自信がない。そんな僕でも安易な考えかもしれないが熱帯魚とかならいけるんちゃうかなぁ?と思い、熱帯魚いいね~!と僕と奥さんの中で合意。
さっそく子供たちを連れてペットショップへ。
僕自身、人生の中でペットショップなるものに入ったのは1回。。。2回あるかないか。
犬やら猫だけじゃなく、魚、爬虫類、小動物、鳥、虫めちゃくちゃいるんですね。店内はいろんな臭いがするし、いろんな生き物の声がする。
お目当ての熱帯魚コーナーにも超種類がいんの。
クソでかいアロワナなんて何万もするやつもいるし、みんなご存じグッピーやカラフルな小魚も。
めちゃくちゃ泳ぎにくいやろなぁと僕ですら同情するような魚。
こんなの買うやつの気が知れんなーと思うほどほとんど動きのない魚。
一世を風靡したウーパールーパーなんかも未だに並んでいる。めちゃくちゃ気持ち悪い。。。
へー!はぁー!とか言いながら未知なる熱帯魚を見てた。
あれ?長男坊は??
さっきまでデカいコブのあるけっして可愛いとは言えない金魚を容赦なくディスりまくっていた長男坊の姿がない。
あぁ~あそこやな。
熱帯魚コーナーに来る途中に昆虫コーナーがあり、ヘラクレスオオカブトという20センチくらいある世界最大級のカブトムシ(15,000円。虫が15,000円よ。)に釘付けになっていたことを思いだし、昆虫コーナーへ行ってみる。。。
が、そこに長男坊の姿はない。
あれ?どこいったんや?
まぁ広い店内でもないし、一周ぐるっとまわってみると発見。
おーい!と近づいてみると床に座り込んでいる。
どないしたん??とさらに近づいてみると真剣な眼差しで熱い視線を送る長男坊の顔。
その先にいたのは。。。犬だ。
生後4ヶ月と書かれてはいるが僕のイメージをはるかに凌駕する大きさ。
なになに。。。
ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッーベルマン!?
あのドーベルマン!?
なにかとアウトローなイメージが僕のなかではぬぐいきれないあのドーベルマン。
僕の母校の近くあった、893さんのお宅。
玄関先にインペルダウン並みの強固な鉄格子の檻の中、通りかかるすべての人類に報復せんばかりの勢いで吠え散らかしていたあのドーベルマン。
アンブレラ社が研究所でTウイルスを注入し、作り出した生物兵器。肌はただれ、流血し、ただただ人を食らうためだけに存在するケルベロス。
ミラジョヴォヴィッチしか倒せねぇ恐ろしすぎるゾンビ犬の元になったあのドーベルマン。
2000年に宮藤官九郎が手掛けた【池袋ウエストゲートパーク】というぶっ飛んだドラマ。オープニング、エンディング共にSads。Sadsよ。コウノドリやら逃げ恥なんちゅうドラマの主題歌には絶対、使わんだろう音楽。鬼気としたキャラクターが登場し、中でも異様な雰囲気を醸し出す坂口憲二演ずるあのドーベルマン山井のドーベルマンよ。
もっと昔を振り返ってみても花咲か爺さんの不思議な力を持った犬は絶対ドーベルマンじゃねぇし、桃太郎と行動を共にした勇敢な犬もドーベルマンじゃねぇ。
子供とともに教会で力尽きる外国の心優しい犬も絶対、ドーベルマンじゃねぇ。
やっぱり。。。
アウトローの何者でもねぇ。
ドーベルマン愛者の方、すいません。なにせ僕の中イメージがこうなもんで。ドーベルマンには罪はありません。
そんなドーベルマンの目の前に座り込んでいる長男坊に声をかけてみると。。。
『これがいい!!』
What's!?
『カッコいいし、これがいい!!』
いやいやめちゃくちゃでかくなるし、ムリムリ!!
『でっかいのがいい!!』
いやいやー。
なんていいながら値段を見てみると。。。
60万!?
ドーベルロクジュウマン!!!
お父ちゃん本気の鼻水、出たわ。
1匹数百円くらいのグッピー、見にきたテンションの僕にドーベルロクジュウマンを突きつけてくるあたり、長男坊の笑いのセンスはスゲーなとは思いますが無理無理。
あっ。"ドーベルロクジュウマン"使ってもいいですよ。笑。
奥さんもドーベルマンの前にやってきて、長男坊と僕の会話に入ってくる。
『あぁお母さんの小さい頃の夢の1つに大きな犬を飼うっていうのあったんよねー。』
えっ!?!?
まさかのドーベルマン推し!?
『ベートーベンっていう映画を見て。。。』
待て待て待てーーーーー!!!!
あんなもんほぼ怪物やないか。
僕の認識は大きなヨダレでしかないわ。
『あかん!絶対あかん!!』
奥さんの援護射撃はあろうことか僕ではなく、長男坊へ向けられる。
こういうのは親が反対して終わるか、家族会議を重ねて一同合意の元に決まるのが常識やろ。
たださすがに60万という金額には奥さんも理解を示してくれましてこれは高いねー。と。(マジでよかった。)
ドーベルマンは絶対に無理!!
長男坊をなんとか夫婦2人で説得するも、奥さんはさっきの宣言から、小さい頃思い描いていた『犬を飼いたいねー』という夢の続きを今なおフワフワ引きずってる様子。
30年以上前の眠っていた夢が長男坊とこのドーベルマンによって呼び起こされてしまった。
とにかく一旦、ドーベルロクジュウマンの前を離れ、他に並んでいる犬に目を向ける。
みんな超ちっちゃい。
そうよね。これよね。
こういう室内犬と呼ばれるような犬が今は主流よね。
事実、数十匹売られていた犬の中でも大型犬はあのドーベルマンだけ。
中型犬も柴犬だけというほど数が少ない。
そうこれが需要と供給のバランス。
世の中の原理原則。
これぞ世界経済の縮図だ。
しかし。。。
たくさん並んでいる小型犬を目で追いながら移動していると。。。
見つけてしまったのだ。
ドーベルマンを。
さっきの大きなドーベルマンをめちゃくちゃ小さくしたサイズ感。
えっ!?ドーベルマンの赤ちゃん?
と思ったほど。
この犬の種類はミニチュア・ピンシャーというのだそう。
グッピーを買いに来た僕には知るよしもない横文字の犬。
奥さんが嬉々として長男坊を呼びつけ『この子見てみぃー!!』と。
長男坊は『確かに似てるけどなんか可愛すぎるやろ!僕はカッコいいのがええねん!』
『そうそう可愛すぎるんや。この子は。長男坊が求めてるもんとはちゃうんや!』(僕の心の声)
ここで犬コーナーの前でわちゃわちゃしている我々家族を見て接客に現れた店員さん。
『この子可愛いでしょ!一番、見せてくださいって頼まれるんですよ。この犬種はとにかく元気よくって、やんちゃなんです。今は垂れ耳で可愛いですけど大きくなったら耳もピンと立ってスラッとしてカッコいいんです。』みたいな超絶、模範的な説明をしてくださいました。接客レベル100点あげちゃう!!
奥さんは長男坊に向かって『この子、大人になったらかっこよくなるんやってー!』なんて教えちゃってる。
ドーベルロクジュウマンでふてくされていた長男坊も少し機嫌を取り戻し『へー!それならええかなぁ。』なんてまんざらでもない様子を醸し出し初めてる。。。
この展開は。。。
まずくないですか!?
フラグ立ち始めてませんか!?
(いつか使ってみたかった若者用語。使い方あってるよね??)
父は、グッピー買いにきてるんですけど。
ドーベルロクジュウマンは論外だとしてもだからってこのミニチュア・ピンシャーも全然、買いに来たつもりじゃない。
奥さん『見てみてー!お泊まり体験ってのがあるでー!』
気に入った子犬を1度、連れて帰り、お泊まりさせるというプラン。
これ1度、やってみよー!ともう話がドンドン進む。
こういうモードになった奥さんはもう止めれない。
年に数回訪れる無双モードというやつ。
お泊まり体験の手続きを済ませ、次の土日で宿泊体験させることに。
我が家に来たミニチュア・ピンシャーくんは生後3ヶ月の男の子。チョコ・タンという毛色。
あまりにも小さいし、ピョンピョン跳ねまわるしぐさは愛くるしいものがある。
おしっこなんかを見ても500円玉くらいの大きさだし、ウンチもドングリ並み。
確かに可愛い。。。
いやダメダメ!僕だけでも冷静な判断をしないといけない。
土日だったのでお義父さん、お義母さんも遊びにきてくれて一緒に子犬と戯れる。
するとお義父さんが子供の頃、シェパードというこれまたデカい犬2匹と暮らしていたというのだ。
放し飼いしてたよ~なんて超ワイルド。
賢い犬だったらしく、新聞受けから新聞を持ってきたり、小さいころのお義父さんと相撲をしたりと思い出話に花が咲いた。
結果、お義父さんも犬を飼うことはいいじゃないかということになったのだが。。。
やっぱりデカい犬がいい!ということに。。。
すると奥さんがまた堰をきったかのように『ベートーベンの映画が。。。』と話し始めた。。。
さすが親子(笑)
僕はすかさずドーベルロクジュウマンの話をしたりしてなんとかデカい犬の路線はなくなりました。笑。
長男坊と次男坊は1日中、子犬と遊んでるし。
もうね。
この流れで買わない選択肢ないでしょ。
大型犬路線を変更できただけでも上等ですよね。
もちろん、3歳の次男坊も含め、全員集合の緊急家族会議はしましたよ。
お世話は誰がするということもそうだし、エサ代や医療費を調べてみたり、そもそも愛情を持って接することができるのかなど。
すると。
『大丈夫!』という返事。(ほんまかいな!?)
このノリの良さはべっちゃんファミリーのええところでもあるんですけどね。
ということで我が家に三番目の子供がやってきました。
名前はチャオ♂。名付け親は長男坊。
"チャオ"って名付けたのに当分の間、奥さんはずっと"チョコ"って呼んでいました。
自由なんですうちの奥さん。笑。
とにもかくにも"チャオ"をよろしくお願いします。
これからこのブログにも登場しますんでよろしくお願いいたします。