こんばんわ。
高知で古民家暮らしを始めたべっちゃんです。
今日は今が最盛期のゆずについて改めて書いていこうと思います。
高知県東部にある北川村が今回の舞台だ。
この季節、1200人ほどの小さな小さな北川村では一年で一番、活気にあふれるシーズンが到来する。
畑という畑に黄色の果実がたわわに実をつけ、村中にひろがるさわやかな香り。
村の一大名産品【ゆず】の季節だ。
このときばかりは普段、補助車を押しながら生活している御年90歳のばあちゃんも脚立に登ってゆずを摘み取る。
70歳の娘さんが脚立の下で心配そうにサポートしている姿にツッコミを入れたくてたまらない。
気持ちはわかるが無理じゃね?笑
とにもかくにも90歳のばあちゃんも元気になるというこの北川村のゆずシーズン到来。
そんな北川村に今年はしっかりお手伝いに行ってます。
今年のゆず収穫は10月20日~12月中旬までこの期間に収穫して出荷しないといけない。
ケツが決まってる分とにかく毎日毎日できるかぎり出荷しないといけないのだ。
まさに時間との勝負。
ゆずの木からひとつひとつハサミで摘み取っていくもんだからとにかく人数がいるのだ。
収穫の技術による差はもちろんありますがこれは間違いなく単純な総力戦。
まさに今が正念場というわけです。
北川村のゆずは厳格な基準が決められており、非常に厳しい。
農協が作ってるこんな基準一覧表がある。
最上級品なんてほんとできることあんの!?ってくらい超厳格な基準。
しかしその最上級基準をクリアーしたゆずにはなんと1個200円以上の値打ちがつくらしい。
1個よ!!200円よ!!農家さんから農協に出荷する金額でよ!
なので上手にゆずを栽培する農家さんは一反あたり100万~200万の収穫が見込めるという。。。これはゆずドリームの匂いがプンプンしてきますね。笑。
この一覧表にもある通り、ゆずはとにかく見た目。
同じく今が旬のみかんのようにパクパク食べるもんでもない。あくまで外観重視なのだ。見た目のキレイなゆずたちは高級日本料理のお店に向けに出荷され、容器として使われる。
他にもこの基準表には乗ってないが皮を加工品に使える【かわ玉】と呼ばれるランクも存在したりとほんとに多くの基準が決められている。
とはいえもちろんこの厳格な基準をクリアーできないゆずのほうが圧倒的に多いのでそんなゆずたちは搾汁される。
いわゆるゆず果汁と呼ばれる製品に変わるのだ。
ゆず果汁は和食の料理にもよく使われるし、ゆずチューハイやゆずジュースなんかにも使われる。
高知県ではこのゆず果汁のことを『ゆのす』と呼び、お寿司のお酢代わりに使用したりする。
ここでゆずの豆知識をご紹介。
【実生(みしょう)のゆず】と【接ぎ木(つぎき)のゆず】
これ知ってたらかなりのゆずツウになれますよ。笑。
栽培方法の違いなんです。
北川村でも栽培されているゆずってのはほとんどが【接ぎ木のゆず】なんです。
【接ぎ木のゆず】は木の背丈が低く、収穫しやすかったり、消毒をしやすかったり、収量が安定したりとメリットがたくさんあるからです。
一方、【実生のゆず】は種から育てて大きくなった木からとれたゆずです。
種から育ったゆずの木は長い年月をかけ、背丈も高く大きいものだと20メートルにも成長します。そんな大木になれば収穫するのも大変だし、消毒する作業なんかも困難。だから収量も安定しない。。。そう聞くと悪いことばかりに聞こえますが実はゆずにとっての生命線である香り、味わりは断然、【実生のゆず】に軍配が上がります。そしてもちろん高価です。
【実生のゆず】か【接ぎ木のゆず】かまで気に留めることができたらかなりのゆずツウです。
話をゆず収穫に戻します。
最後にお話ししたいのがゆず収穫の美学について。
それは 【全量収穫の美学】 。
当たり前に聞こえるでしょ?でもね。これほんとに大変なの。
ゆずってめちゃくちゃ収穫しにくいんです。最大の難点はトゲ。
めちゃくちゃトゲがたってて刺さりまくる。
トゲ防止に革の手袋や腕カバーなんかをつけるんだけど木の真ん中らへんにあるゆずなんてもう全身にトゲをくらいながら突入していかないといけない。
相当、気合い入れないといけないです。絶対に刺さるとわかってるトゲに突っ込んでいくんだから。笑
血は出るし、刺さったところは夜に風呂入ったらめちゃくちゃシミる。
そんなゆずの木が何百本とある。1本にゆずの木から60~80キロ。上記にも書いたがそれをひとつひとつ人がはさみで切っていくんだから途方もない作業なのはわかっていただけるだろうか。
それをひとつ残らず収穫するのが全量収穫だ。
木、いっぱいになった黄色のゆずがまるっきりなくなり緑一色の木に変わる。
(約2反を全量収穫)
この瞬間の達成感たるや半端ではない。
わかっています。
かなりマニアックなことを言うてるということは。笑
村の人たち同士でも『おまえんとこ、まだ残っとったぞ~!』『○○さんところはきれいさっぱりひとつも残っとらんの~!』なんて会話になるそうで、当然、きれいに全量収穫していると村では認められるというわけだ。
僕のお仕事の飲食業にも【満席の美学】というものが存在し、実際、お客様で埋め尽くされた店内を眺めているとそれはそれはなにものにも代えがたい高揚感につつまれる。
【全量収穫の美学】
ゆず収穫にもこんな美学が存在するんだと知った僕はますます気合いが入ったのは言うまでもない。
いろんな業界のいろんな【美学】是非、聞いてみたいもんです。